ビスマスキューブ（アクリルキューブ）

写真は全てビスマスキューブの一例となり、実際の製品はご注文欄の画像よりお選び下さい

無色透明の液体であるメタクリル酸メチル(MMA)に触媒等を添加し、特定の温度・圧力条件下で化学反応（重合反応）させることによりアクリル樹脂（PMMA：ポリメタクリル酸メチル）を得る事をアクリル重合技術と言います。この重合技術を用いて、ビスマス人工結晶をアクリル樹脂に封入します。これにより、ビスマス人工結晶の欠点である、柔らかくて脆い性質と表面の酸化被膜の剥がれを防止し、様々な角度から手軽に扱える形となりました。これらの作業は全てアクリ屋ドットコム（横浜工場）にて行っています。

元素周期表では窒素の下の方にある元素です。金属としては特異な性質が多く、半金属に分類されることもあります。融点は低く（摂氏272度）、全金属中最強の反磁性を示し、液体が固体より密度が大きく、柔らかくて脆く、割れ口は劈開（へきかい）という性質により一方向に刃物で切ったように綺麗に割れます。販売するビスマス金属は、石華工匠が人工的に造った結晶であり、酸化膜による多彩な着色と神秘的なかたちを持ち合わせています。

ビスマスの割れ口は僅かに赤みがかった銀白色をしています。これがビスマス本来の色です。人工ビスマス結晶のカラフルな色は、水面の油膜やシャボン玉の色と同じく光の干渉の原理による発色で、ビスマス結晶が冷却する時に表面に生成した薄い酸化膜によるものです。その証拠に、酸化膜を酸で溶かしてしまうとただの銀色の結晶（youtube参照）になってしまいます。色がグラデーションになるのは結晶の各所で冷える速度が異なり、冷える速度によって酸化膜の厚さが異なるからです。自然光のようなスペクトルが連続した光源であれば、更に色が映えて見えます。

四角錐を抜き取ったようなビスマス結晶のかたちは鉱物の用語では「骸晶（がいしょう）」と呼びます。骸晶とは結晶が急激に成長した時などに、稜の部分の成長に面の部分の成長が追い付かない場合に生じる現象で、ビスマスの場合には過冷却状態からの結晶成長時に見られます。過冷却状態で成長する結晶の先端部分に注目すると、ここではビスマスが急激に固化し、潜熱が開放されて温度が上昇します。この温度上昇によって、周囲のビスマスが全て固化する前に過冷却が解消されてしまうので、結晶の先端だけが次の領域へと過冷却部分を消費しながらどんどん伸びて行き、残りの部分は通常の冷却を待ってゆっくりとした結晶の成長となります。この段階で固化していないビスマスを流し出してしまうと、過冷却による急激な成長をした部分だけが取り出されることになるのです。今回封入に使用しているビスマス人工結晶は、製造時の容器壁の跡・汚れ、取り出す際の破損・歪みが無い物を選んでいます。更に、その中から封入に適した美しい形状とサイズを厳選しています。